眠りの習慣
寝室の温度が25度を超えると、眠りの効率は落ち始める
快眠に最適な寝室の温度は20〜25度です。これを超えると睡眠効率は5〜10%低下し、深い眠り(徐波睡眠)とレム睡眠が削られます。高齢者の約11,000夜のデータと、日本の研究者による総説をもとに、夏も冬も眠りを守る室温を解説します。
熱帯夜のエアコンは朝までつけっぱなしが正解です。日本人の実験で、睡眠の後半だけ32度・湿度80%の暑さに曝されると覚醒が増えました。タイマーで切れた部屋はこの状態です。ただし風を体に直接当てると、気づかない弱さでも眠りを乱します。
熱帯夜のエアコンは、朝までつけっぱなしが正解です。日本人を対象にした実験で、睡眠の後半だけ32度・湿度80%の蒸し暑さに曝されると、覚醒が有意に増えました[1]。タイマーで切れたあとの寝室で起きているのは、まさにこの状態です。
「途中で切る方が体にいい」というイメージは、眠りの研究とは逆を向いています。
熱帯夜とは、夜間の最低気温が25度以上の夜のことです。日本の夏はこれに高い湿度が重なるため、気温の数字以上に眠りへの負担が大きくなります[3]。
寝室の温度が25度を超えると睡眠効率が落ち始めることは、約11,000夜の実測データで示されています。詳しくは寝室の温度と眠りの記事で解説しています。
「寝つくまで冷やして、あとは切る」が眠りに悪いことを、正面から調べた日本の実験があります。睡眠の前半または後半だけ、32度・湿度80%の蒸し暑さに曝すという設計です[1]。
タイマー運転の夜に明け方うとうとと目が覚めるのは、暑さで眠りが壊れているサインです。眠りの後半にはレム睡眠が集中するため、この時間帯の暑さは記憶や気分の回復を直撃します。
人は眠っている間も、体の中心の温度(深部体温)を下げ続ける必要があります。暑くて湿度が高いと汗が蒸発せず、この放熱が止まります[3]。
つまり熱帯夜対策の本質は「涼しく感じること」ではなく、「朝まで放熱できる環境を保つこと」です。だから途中で切れる冷房では足りません。
つけっぱなしにする場合、風向きに一つ注意があります。
「風が当たって気持ちいい」と感じても、眠っている体には負担です。風向きは天井や壁に向け、部屋全体の温度を下げてください。
それでも「眠りの後半を暑さに曝さない」という原則は揺らぎません。個人差は設定温度で調整すればよく、途中で切る理由にはなりません。
各論文の「主な結果」とあわせて、相反する結果や限界(反証)も併記しています。 集団タグは研究対象(日本人/欧米など)を示します。
結果睡眠の後半だけ32度・湿度80%の蒸し暑さに曝されると、覚醒が有意に増え、皮膚温が上昇した。前半に曝された場合はさらに悪く、深い眠り(徐波睡眠)が削られた。
反証対象は男性16人の小規模な実験室研究。32度・湿度80%というかなり厳しい条件で、実際の寝室がこれより穏やかなら影響は小さい可能性がある。
doi:10.1016/j.physbeh.2004.09.009 ↗結果平均風速0.14m/sという本人が気づかないほど弱い気流でも、体動と心拍数が増え、夜中の覚醒が多くなった。エアコンの風が体に直接当たると、自覚がなくても眠りを乱す。
反証実験室での比較で対象人数は限られる。気流の感じ方や好みには個人差がある。
doi:10.1016/j.enbuild.2016.12.066 ↗結果暑い環境は深い眠り(徐波睡眠)とレム睡眠を減らし、夜中の覚醒を増やす。とくに高温多湿では寝具で体温を逃がせず、影響が強く出る。
反証寒すぎる環境も代謝を上げて眠りを乱す。寝具・寝衣の量で体感温度は変わるため、室温の数字だけで最適は決まらない。
doi:10.1186/1880-6805-31-14 ↗エアコンはつけっぱなしとタイマー、どちらがよく眠れますか?
つけっぱなしです。日本人の実験では、睡眠の後半だけ蒸し暑さに曝されると覚醒が増えました。タイマーで切れた後の部屋はまさにこの状態です。熱帯夜は25〜27度前後で朝まで運転してください。
熱帯夜のエアコンは何度に設定すればいいですか?
25〜27度を目安に、除湿を効かせてください。大切なのは設定温度ではなく寝室の実際の温度と湿度です。温湿度計を置いて、朝まで快適に眠れる設定を探すのが確実です。
エアコンの風で体がだるくなるのはなぜですか?
風が体に直接当たっていることが原因の一つです。実験では、本人が気づかないほど弱い気流でも体動と心拍が増え、覚醒が多くなりました。風向きは天井や壁に向け、体に直接当てないでください。
電気代が気になります。それでもつけっぱなしがいいですか?
眠りの質を優先するならつけっぱなしです。夜間の冷房を数時間で切ると、暑さで眠りの後半が乱れ、翌日の眠気というかたちでツケが回ります。設定温度を1〜2度上げて連続運転にする方が合理的です。