眠りの習慣
午後3時のコーヒーが、その夜の眠りを削っていた
カフェインは就寝6時間前に飲んでも睡眠を1時間近く削ることが実験で示されています。さらに日本人を含む東アジア人はカフェインの効き方に遺伝的な個人差が大きい。緑茶文化の国・日本ならではの視点で解説します。
寝酒は寝つきこそ良くしますが、夜中の眠りを壊します。しかも日本人の約半数は、お酒の毒性成分を分解しにくい体質。欧米人より寝酒のダメージを受けやすい理由を、論文と反証から解説します。
寝酒で眠れるというのは、半分だけ正しく、半分は逆です。アルコールは寝つきを早めますが、夜の後半で眠りを分断し、結果として睡眠の質を下げます[1]。しかも日本人の約半数は、お酒の毒性成分を分解しにくい体質で、寝酒のダメージを受けやすいのです[3]。
「眠れないから一杯」は、日本でもっとも多い睡眠対策です。けれどその習慣は、知らないうちに眠りを削っているかもしれません。
アルコールは確かに寝つきを良くします。問題はそのあとです。健常者の研究をまとめたレビューによると、飲酒は入眠を早め前半の深い睡眠を増やす一方、後半ではレム睡眠が反動的に増え、眠りが細切れになることが分かっています[1]。
つまり寝酒は、眠りの前借りです。寝つきの良さと引き換えに、夜中や明け方に目が覚めやすくなります。
ここに日本人特有の事情が重なります。アルコールは体内でまず「アセトアルデヒド」という毒性の強い物質に変わり、それをALDH2という酵素が分解します。ところが日本人の約4〜5割は、このALDH2の働きが生まれつき弱い体質です[3]。
欧米中心の「適量の寝酒なら問題ない」という感覚を、そのまま日本人に当てはめるのは危険です。同じ一杯でも、体に残るダメージが違います。
皮肉なことに、体質的に向かないはずの日本人ほど寝酒に頼っています。日本人の一般集団を調べた大規模調査では、週1回以上寝酒をする人は男性で48.3%、女性で18.3%にのぼり、睡眠薬より寝酒のほうが多く使われていました[2]。
それでも方向性ははっきりしています。寝酒は習慣化するほど耐性がつき、量が増え、眠りはさらに浅くなります。
寝酒をやめる近道は、「眠れない夜の儀式」を別のものに置き換えることです。
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各論文の「主な結果」とあわせて、相反する結果や限界(反証)も併記しています。 集団タグは研究対象(日本人/欧米など)を示します。
結果アルコールは寝つき(入眠潜時)を短くし前半の深い睡眠を増やす一方、後半はレム睡眠が反動で増え、眠りが分断され中途覚醒が増えることを確認した。
反証個々の研究は少人数が多く、用量・飲酒タイミングもばらつく。長期常用者では反応が異なる可能性がある。
doi:10.1111/acer.12006 ↗結果睡眠目的の飲酒(寝酒)を週1回以上する人は男性48.3%・女性18.3%にのぼり、日本では睡眠薬より寝酒のほうが多く使われていた。
反証自己申告に基づく横断調査で、寝酒が不眠の原因か結果かは特定できない。
doi:10.1016/j.sleep.2006.10.009 ↗結果日本人の約4〜5割は、アルコールの毒性中間産物アセトアルデヒドを分解する酵素ALDH2の働きが弱く、飲酒で顔が赤くなる体質であることを示した。
反証ALDH2の型と「睡眠の質」を直接結びつけた大規模研究はまだ少なく、寝酒被害の個人差は今後の検証課題。
原典を読む ↗寝酒をすると寝つきが良くなるのは気のせいですか?
気のせいではありません。アルコールは入眠を早めます。ただし夜の後半でレム睡眠が反動的に増えて眠りが分断され、中途覚醒や早朝覚醒が増えます。トータルでは睡眠の質を下げます。
なぜ日本人は寝酒に向かないのですか?
日本人の約4〜5割は、アルコールの毒性成分アセトアルデヒドを分解する酵素ALDH2が弱い体質です。寝酒をすると体内に毒性成分が残りやすく、睡眠後半の乱れや動悸・発汗が起こりやすくなります。
眠れないときの一杯を、何に置き換えればいいですか?
ノンカフェインの温かい飲み物(麦茶・白湯など)や、就寝1〜2時間前の入浴がおすすめです。入浴は寝つきを早めることが研究で示されています。