睡眠のしくみ
一夜漬けで詰め込むより、寝たほうが記憶は残る
覚えた内容は、眠っている間に脳が整理して長期記憶へ移します。睡眠を削ると記憶は定着しません。日本人の子ども290人の研究では、平日よく眠る子ほど記憶を司る海馬が大きいことも示されました。睡眠と記憶の関係を、論文と反証から解説します。
子どもの学力に効くのは、睡眠時間よりも「何時に寝るか」でした。日本人の子ども約4,400人の研究で、3歳のとき早く寝ていた子ほど小学校の成績が良いことが示されました。睡眠が子どもの脳と学力に与える影響を、論文と反証から解説します。
子どもの学力に効くのは、睡眠時間よりも「何時に寝るか」でした。日本人の子ども約4,400人の研究で、3歳のとき早く寝ていた子ほど小学校の成績が良いことが示されています[1]。しかも睡眠『時間』ではなく『就寝時刻』が、成績と関連していました。
「早く寝かせる」ことには、思った以上の意味があります。
子どもにとって睡眠は、休息以上のものです。日中に学んだことを記憶として定着させ、脳そのものを育てる時間です。
成長ホルモンが多く出るのも、深い眠りのときです。子どもの体と脳は、眠っている間に作られていきます。
これを日本人の子どもで示したのが、尼崎市の約4,400人を調べたNishiyamaらの研究です[1]。
「何時間眠るか」だけでなく「何時に寝るか」が、子どもの育ちを左右します。
睡眠は、学力の土台になる脳の発達にも関わります。これを示したのが東北大学のTakiらの研究です[2]。
早寝で生活リズムを整え、十分な睡眠を確保することが、子どもの脳と学力の両方を支えます。
断定の前に、反証も見ておきます。
それでも、早寝と十分な睡眠が子どもの発達に良い方向は一致しています。
各論文の「主な結果」とあわせて、相反する結果や限界(反証)も併記しています。 集団タグは研究対象(日本人/欧米など)を示します。
結果日本人の子どもで、3歳のとき就寝が早かった子ほど小学1年の国語の成績が高く、勤勉さも高かった。睡眠『時間』ではなく『就寝時刻』が成績と関連していた。
反証観察研究で因果は断定できない。早寝の家庭は教育環境など他の良い条件も整っている可能性がある。
doi:10.1038/s41598-023-48280-5 ↗結果平日の睡眠時間が長い日本人の子どもほど、記憶を司る海馬の灰白質体積が大きかった。年齢・性別・頭の大きさを調整しても関連は有意だった。
反証横断研究のため因果は断定できない。睡眠が海馬を育てるのか、もともと海馬が大きい子がよく眠るのかは区別できない。
doi:10.1016/j.neuroimage.2011.11.072 ↗子どもの学力には睡眠時間と就寝時刻のどちらが大事ですか?
研究では「就寝時刻」が成績と関連していました。日本人の子ども約4,400人の調査で、3歳のとき早く寝ていた子ほど小学校の成績が良く、睡眠時間そのものとは関連が見られませんでした。早寝が体内時計を整えると考えられます。
何時に寝かせるとよいですか?
幼児は20時台までの就寝が一つの目安です。研究では、3歳の就寝が23時以降の子は、20時前後の子より成績や勤勉さが低い傾向がありました。早寝の習慣を早くから作ることが大切です。
睡眠は子どもの脳の発達に関係しますか?
関係します。日本人の子ども290人の研究で、平日よく眠る子ほど記憶を司る海馬が大きいことが示されました。睡眠は学力だけでなく、記憶する脳そのものの発達にも関わります。