早く眠る子どもと、育つ脳のイラスト
JAPAN FOCUS

子どもの学力は、寝る「時刻」で差がついていた

子どもの学力に効くのは、睡眠時間よりも「何時に寝るか」でした。日本人の子ども約4,400人の研究で、3歳のとき早く寝ていた子ほど小学校の成績が良いことが示されました。睡眠が子どもの脳と学力に与える影響を、論文と反証から解説します。

ILLUSTRATION / SUIMIN LAB

子どもの学力に効くのは、睡眠時間よりも「何時に寝るか」でした。日本人の子ども約4,400人の研究で、3歳のとき早く寝ていた子ほど小学校の成績が良いことが示されています[1]。しかも睡眠『時間』ではなく『就寝時刻』が、成績と関連していました。

「早く寝かせる」ことには、思った以上の意味があります。

なぜ子どもに睡眠が大切なのか

子どもにとって睡眠は、休息以上のものです。日中に学んだことを記憶として定着させ、脳そのものを育てる時間です。

成長ホルモンが多く出るのも、深い眠りのときです。子どもの体と脳は、眠っている間に作られていきます。

学力に効くのは「何時間」より「何時に寝るか」

これを日本人の子どもで示したのが、尼崎市の約4,400人を調べたNishiyamaらの研究です[1]

「何時間眠るか」だけでなく「何時に寝るか」が、子どもの育ちを左右します。

睡眠は子どもの脳をどう育てるのか

睡眠は、学力の土台になる脳の発達にも関わります。これを示したのが東北大学のTakiらの研究です[2]

早寝で生活リズムを整え、十分な睡眠を確保することが、子どもの脳と学力の両方を支えます。

この話の限界

断定の前に、反証も見ておきます。

それでも、早寝と十分な睡眠が子どもの発達に良い方向は一致しています。

子どもの眠りを整える方法

この記事のまとめ

  • 子どもの学力に効くのは睡眠時間より『就寝時刻』だった
  • 3歳で早く寝ていた子ほど、小学校の成績と勤勉さが高かった
  • 日本人の子どもで、よく眠る子ほど記憶を司る海馬が大きい
  • 睡眠は学力だけでなく、記憶する脳そのものの発達にも関わる
  • 幼児期から早寝の習慣を作り、朝の光で体内時計を整える

参考文献と反証

各論文の「主な結果」とあわせて、相反する結果や限界(反証)も併記しています。 集団タグは研究対象(日本人/欧米など)を示します。

  1. [1]Nishiyama M, Kyono Y, Yamaguchi H, et al. (2023). Association of early bedtime at 3 years of age with higher academic performance and better non-cognitive skills in elementary school. Scientific Reports.日本人対象 コホート / 尼崎市の子ども約4,395人

    結果日本人の子どもで、3歳のとき就寝が早かった子ほど小学1年の国語の成績が高く、勤勉さも高かった。睡眠『時間』ではなく『就寝時刻』が成績と関連していた。

    反証観察研究で因果は断定できない。早寝の家庭は教育環境など他の良い条件も整っている可能性がある。

    doi:10.1038/s41598-023-48280-5
  2. [2]Taki Y, Hashizume H, Thyreau B, et al. (2012). Sleep duration during weekdays affects hippocampal gray matter volume in healthy children. NeuroImage.日本人対象 脳MRI横断研究 / 日本人の子ども290人(5〜18歳)

    結果平日の睡眠時間が長い日本人の子どもほど、記憶を司る海馬の灰白質体積が大きかった。年齢・性別・頭の大きさを調整しても関連は有意だった。

    反証横断研究のため因果は断定できない。睡眠が海馬を育てるのか、もともと海馬が大きい子がよく眠るのかは区別できない。

    doi:10.1016/j.neuroimage.2011.11.072

よくある質問

子どもの学力には睡眠時間と就寝時刻のどちらが大事ですか?

研究では「就寝時刻」が成績と関連していました。日本人の子ども約4,400人の調査で、3歳のとき早く寝ていた子ほど小学校の成績が良く、睡眠時間そのものとは関連が見られませんでした。早寝が体内時計を整えると考えられます。

何時に寝かせるとよいですか?

幼児は20時台までの就寝が一つの目安です。研究では、3歳の就寝が23時以降の子は、20時前後の子より成績や勤勉さが低い傾向がありました。早寝の習慣を早くから作ることが大切です。

睡眠は子どもの脳の発達に関係しますか?

関係します。日本人の子ども290人の研究で、平日よく眠る子ほど記憶を司る海馬が大きいことが示されました。睡眠は学力だけでなく、記憶する脳そのものの発達にも関わります。

この記事について

文:眠りの科学 編集部

本記事は上記2本の文献に基づきます。新しい研究や反証が出た場合は更新日を改めて反映します。 内容は一般的な情報提供であり、症状がある場合は医療機関にご相談ください。