眠りの習慣
昼寝は10分がいちばん効く。30分眠るとかえってだるくなる
昼寝は10分がもっとも効率よく頭を冴えさせ、30分眠ると目覚めにだるさ(睡眠慣性)が出ます。一方で日本人の研究では、30〜60分の昼寝が認知症リスクを下げ、1時間超はむしろ上げる可能性が示されています。反証も含めて解説します。
覚えた内容は、眠っている間に脳が整理して長期記憶へ移します。睡眠を削ると記憶は定着しません。日本人の子ども290人の研究では、平日よく眠る子ほど記憶を司る海馬が大きいことも示されました。睡眠と記憶の関係を、論文と反証から解説します。
覚えた内容は、眠っている間に脳が整理して長期記憶へ移します。だから一夜漬けで詰め込むより、睡眠をはさんだ方が記憶は残ります[1]。日本人の子ども290人の研究では、平日よく眠る子ほど記憶を司る海馬が大きいことも示されました[2]。
「寝る時間を削って勉強する」は、記憶のしくみに逆らう方法です。
睡眠は、ただ脳を休ませる時間ではありません。日中に覚えた情報を選び、整理し、長期保存に回す「編集作業」の時間です。
この分野を包括的にまとめたRaschとBornの総説によると、記憶の定着には睡眠段階が役割分担しています[1]。
つまり、覚えた直後に眠ることが、記憶を保存する最後の一手になります。
睡眠を削ると、この編集作業の時間そのものが失われます。覚えたはずの内容が翌日に思い出せないのは、保存処理が間に合っていないからです。
とくに徐波睡眠は眠りの前半に多く出ます。夜更かしで眠る時間が短いと、この記憶定着に重要な段階が削られてしまいます。
睡眠と記憶の土台である脳の関係を、日本人で示したのが東北大学のTakiらの研究です。健康な子ども290人の脳をMRIで調べました[2]。
子どもにとって睡眠は、記憶の保存だけでなく、記憶する脳を育てる時間でもあります。
断定の前に、反証も見ておきます。
それでも、睡眠が記憶を助ける方向性は数多くの研究で一致しています。
各論文の「主な結果」とあわせて、相反する結果や限界(反証)も併記しています。 集団タグは研究対象(日本人/欧米など)を示します。
結果睡眠は記憶の定着を助ける。とくに深い眠り(徐波睡眠)が「覚えた事実や出来事」の長期記憶への移行を担い、レム睡眠が感情や技能の記憶に関わる。
反証記憶の種類ごとにどの睡眠段階が効くかは完全には確定しておらず、研究によって結果が分かれる部分もある。
doi:10.1152/physrev.00032.2012 ↗結果平日の睡眠時間が長い日本人の子どもほど、記憶を司る海馬の灰白質体積が大きかった。年齢・性別・頭の大きさを調整しても関連は有意だった。
反証横断研究のため因果は断定できない。睡眠が海馬を育てるのか、もともと海馬が大きい子がよく眠るのかは区別できない。
doi:10.1016/j.neuroimage.2011.11.072 ↗勉強した後は寝たほうがいいのですか?
寝たほうが記憶に残ります。覚えた内容は眠っている間に脳が整理し、長期記憶へ移します。徹夜で詰め込むより、睡眠をはさんだ方が定着します。
どの睡眠が記憶に効くのですか?
深い眠り(徐波睡眠)が、覚えた事実や出来事の記憶を長期化させます。レム睡眠は感情の記憶や技能の習得に関わります。どちらも欠かせないため、睡眠時間全体を確保することが重要です。
睡眠不足は子どもの記憶力に影響しますか?
影響します。日本人の子ども290人の研究で、平日よく眠る子ほど記憶を司る海馬が大きいことが示されました。睡眠は記憶の土台になる脳の発達にも関わります。