睡眠のしくみ
朝の光を浴びないと、体内時計は毎日後ろにずれていく
朝に強い光を浴びると体内時計が前に進み、夜の寝つきが良くなります。逆に朝の光が不足すると時計は後ろへずれ、夜型化します。日本・九州大学の実験と、光が体内時計を動かす研究から、朝の光が眠りを整える仕組みを解説します。
夜型・朝型は意志や生活の乱れではなく、生まれ持った体内時計のタイプ(クロノタイプ)で大きく決まります。問題は、夜型の人が社会の時間に合わせて生じる『社会的時差ぼけ』です。日本の中学生の51%が抱えるこのズレを、論文と反証から解説します。
夜型・朝型は、意志や生活の乱れではありません。遺伝・年齢・性別・光環境で決まる、生まれ持った体内時計のタイプ(クロノタイプ)で大きく決まります[1]。問題は、夜型の人が社会の時間に無理に合わせることで生じる『社会的時差ぼけ』です。日本の中学生の51%が、このズレを抱えています[2]。
「夜更かしは自己管理の問題」と責められがちですが、半分は体質の話です。
クロノタイプとは、その人が自然に眠くなり、自然に目覚める時間帯のタイプのことです。朝型・夜型と呼ばれるものがこれにあたります。
このタイプは、生活習慣だけで決まるのではありません。遺伝子や年齢、性別、浴びる光の量によって、かなりの部分が決まっています。
13万人規模の調査でクロノタイプを分析したのが、ミュンヘン大学のRoennebergらの研究です[1]。
とくに10代は、生理的に夜型化します。思春期の子の夜更かしは、怠けではなく体の変化です。
このズレが、日本の若者でどれほど広がっているかを示したのがTamuraらの研究です[2]。
半数以上の中学生が、慢性的な時差ぼけ状態で学校に通っている計算です。
断定の前に、反証も見ておきます。
それでも、クロノタイプが体質で決まり、無理なズレが不調を招く方向は一致しています。
各論文の「主な結果」とあわせて、相反する結果や限界(反証)も併記しています。 集団タグは研究対象(日本人/欧米など)を示します。
結果クロノタイプ(朝型・夜型)は遺伝・年齢・性別・光環境で決まる。社会の時間に体内時計を合わせる『社会的時差ぼけ』が大きい人ほど、肥満(BMI上昇)と関連していた。
反証観察研究で因果は示せない。社会的時差ぼけとBMIの関連は太り気味の人で目立ち、標準体重では明確でなかった。
doi:10.1016/j.cub.2012.03.038 ↗結果日本の中学生の51.1%が1時間以上の社会的時差ぼけ(平日と休日の睡眠リズムのズレ)を抱え、それは日中の眠気・イライラ・学業成績の低下と関連していた。
反証横断研究で因果は示せない。自己申告の睡眠時刻に基づく。
doi:10.1080/07420528.2021.1996388 ↗夜型なのは生活習慣の乱れですか?
違います。朝型・夜型(クロノタイプ)は遺伝・年齢・性別・光環境で大きく決まります。意志や努力の問題ではありません。とくに10代は生理的に夜型化します。
社会的時差ぼけとは何ですか?
平日と休日で睡眠のタイミングがずれることです。夜型の人が平日に無理に早起きすると、体内時計と社会の時間がずれ、慢性的な時差ぼけ状態になります。日本の中学生の51%が1時間以上のズレを抱えています。
夜型は健康に悪いのですか?
夜型そのものより、社会に合わせて生じるズレが問題です。社会的時差ぼけが大きい人ほど肥満や日中の不調と関連していました。朝の光を浴びて体内時計を前に動かすと、ズレを小さくできます。