睡眠の俗説検証
週末の寝だめでは、平日の睡眠負債は返しきれない
平日の寝不足を週末に取り返す「寝だめ」。実験では、週末に好きなだけ眠っても、平日に戻ると血糖や代謝の乱れは元に戻りませんでした。一方で死亡リスクは下がるという研究もあり、評価は割れています。日本人データも含めて検証します。
30分以内の二度寝(スヌーズ)は睡眠をほとんど削らず、むしろ起床直後の頭の働きを保つことが実験で示されました。二度寝は意志の弱さではありません。ただし効くのは限られた条件です。最新研究と日本の若者のデータから、二度寝との付き合い方を解説します。
「二度寝は体に悪い」とよく言われます。しかし最新の実験では、再入眠が得意な人にとって30分以内の二度寝(スヌーズ)は睡眠をほとんど削らず、むしろ起床直後の頭の働きを保つことが示されました[1]。二度寝は、意志の弱さではありません。
ただし、これは「誰でも二度寝すべき」という意味ではありません。条件を見ていきます。
二度寝が悪者にされてきたのは、「眠りが細切れになって質が落ちる」という説明からです。ところが、それを実際に測った研究は多くありませんでした。
そこでSundelinらは、習慣的に二度寝する人を睡眠実験室で調べました[1]。
つまり30分のスヌーズは、深い眠りから無理に引き剥がされるのを避ける「緩衝材」として働いていたのです。
目覚ましが深い眠りの最中に鳴ると、頭がぼんやりする「睡眠慣性」が起きます。この状態で無理に起きると、しばらく頭が働きません。
30分のスヌーズは、深い眠りから自然に浅い眠りへ移る時間を稼ぎます。結果として、起き抜けのだるさが和らぐことがあるのです。
二度寝は、夜型の人や若い人に多いことがわかっています。そして日本の若者は、世界でも指折りの夜型・睡眠リズムのズレを抱えています。
二度寝がやめられないのは性格の問題ではなく、生活リズムのサインです。
ただし、二度寝が万能というわけではありません。反証も見ておきます。
二度寝で30分粘っても眠れないなら、それはあなたに二度寝が向いていないサインです。
各論文の「主な結果」とあわせて、相反する結果や限界(反証)も併記しています。 集団タグは研究対象(日本人/欧米など)を示します。
結果30分の二度寝(スヌーズ)は起床直後の認知テストの成績を下げず、むしろ改善した。失われた睡眠は約6分にとどまり、深い眠り(N3)の途中で起こされるのを防いだ。
反証対象は「二度寝が習慣で、再入眠が得意な人」に限られる。誰にでも当てはまるわけではなく、ストレスホルモンや気分には明確な効果はなかった。
doi:10.1111/jsr.14054 ↗結果日本の中学生の51.1%が1時間以上の社会的時差ぼけ(平日と休日の睡眠リズムのズレ)を抱え、それは日中の眠気・イライラ・学業成績の低下と関連していた。
反証横断研究で因果は示せない。社会的時差ぼけと二度寝は別の現象で、二度寝そのものの害を示したわけではない。
doi:10.1080/07420528.2021.1996388 ↗二度寝は体に悪いのですか?
一概に悪いとは言えません。再入眠が得意な人では、30分以内の二度寝は睡眠をほとんど削らず、起床直後の頭の働きを保つことが実験で示されました。ただし誰にでも当てはまるわけではありません。
なぜ二度寝をすると頭がすっきりすることがあるのですか?
目覚ましが深い眠りの途中で鳴ると、頭がぼんやりする睡眠慣性が起きます。30分のスヌーズは、深い眠りから自然に浅い眠りへ移る時間を稼ぎ、起き抜けのだるさを和らげる場合があります。
二度寝がやめられないのは意志が弱いからですか?
違います。二度寝は夜型の人や若い人に多く、睡眠リズムの問題です。日本の中学生の半数は平日と休日の睡眠のズレを抱えています。生活リズムの調整が根本の対策になります。