昼間に強い眠気と闘う人のイラスト
DISORDERS

日中の耐えがたい眠気は、夜の睡眠が壊れているサインだった

昼間の強い眠気は、気合いや根性の問題ではありません。気づかぬうちに溜まった睡眠負債か、いびきなど夜の睡眠を壊す病気が背景にあります。日本人約2.9万人の調査では、日中の眠気と最も強く関連したのは「いびき・呼吸の乱れ」でした。論文と反証から解説します。

ILLUSTRATION / SUIMIN LAB

昼間の耐えがたい眠気は、気合いや根性の問題ではありません。気づかぬうちに溜まった睡眠負債か、いびきなど夜の睡眠を壊す病気が背景にあります[1]。日本人約2.9万人の調査では、日中の眠気と最も強く関連したのは「いびき・呼吸の乱れ」でした[2]

「自分は眠気に弱い」と責める前に、夜の睡眠を疑う価値があります。

なぜ気づかないうちに眠くなるのか

睡眠負債は、自覚しにくいのが厄介です。これを示したのがVan Dongenらの実験です。健康な成人の睡眠を6時間に制限し、2週間続けました[1]

「慣れた」と感じても、脳のパフォーマンスは落ちたままです。眠気の自覚がなくても、負債は溜まっています。

日中の眠気で最も多い原因は何か

ただの睡眠不足以外に、夜の睡眠を壊す病気も眠気を生みます。日本人2.9万人を調べたKaneitaらの調査を見てみます[2]

毎晩しっかり寝ているつもりでも眠いなら、夜のいびきや呼吸を疑うべきです。

この話の限界

断定の前に、反証も見ておきます。

それでも、日中の眠気が「睡眠負債か夜の睡眠の異常のサイン」である方向は一致しています。

日中の眠気への対処

この記事のまとめ

  • 日中の強い眠気は気合いの問題ではなく、睡眠負債か夜の睡眠の異常のサイン
  • 6時間睡眠を2週間で、脳の働きは2晩徹夜レベルまで低下する
  • 睡眠負債は自覚しにくく、本人は能力低下に気づけない
  • 日本人で眠気と最も強く関連したのは『いびき・呼吸の乱れ』(無呼吸)
  • まず睡眠時間を確保し、改善しなければ無呼吸など病気を疑い受診する

参考文献と反証

各論文の「主な結果」とあわせて、相反する結果や限界(反証)も併記しています。 集団タグは研究対象(日本人/欧米など)を示します。

  1. [1]Van Dongen HPA, Maislin G, Mullington JM, Dinges DF (2003). The cumulative cost of additional wakefulness: dose-response effects on neurobehavioral functions and sleep physiology from chronic sleep restriction and total sleep deprivation. Sleep.欧米対象 介入実験 / 健康な成人48人を14日間の睡眠制限

    結果睡眠を6時間に制限して2週間続けると、脳の働きの低下が「2晩徹夜」に匹敵するまで蓄積した。本人の眠気の自覚は途中で頭打ちになり、実際の能力低下に気づけなくなる。

    反証実験室での厳密な制限条件。回復睡眠で改善する部分もあり、個人差も大きい。

    doi:10.1093/sleep/26.2.117
  2. [2]Kaneita Y, Ohida T, Uchiyama M, et al. (2005). Excessive daytime sleepiness among the Japanese general population. Journal of Epidemiology.日本人対象 全国調査 / 日本人28,714人

    結果日本人で日中の強い眠気と最も強く関連したのは「いびきや呼吸の乱れによる睡眠の中断」(オッズ比2.46)だった。短い睡眠、脚の不快感、ストレスも関連した。

    反証自己申告に基づく横断調査で因果は示せない。眠気の定義によって有病率は2.5〜8.9%と幅がある。

    doi:10.2188/jea.15.1

よくある質問

昼間に強い眠気が出るのは怠けですか?

違います。日中の強い眠気は、気づかぬうちに溜まった睡眠負債か、いびきなど夜の睡眠を壊す病気が背景にあります。日本人の調査では、眠気と最も強く関連したのは「いびき・呼吸の乱れ」でした。意志の問題ではありません。

睡眠負債とは何ですか?

必要な睡眠に足りない分が、借金のように積み重なった状態です。6時間睡眠を2週間続けると、脳の働きが2晩徹夜したレベルまで低下します。しかも本人は途中から眠気に気づきにくくなり、能力低下を自覚できなくなります。

日中の眠気は病院に行くべきですか?

十分寝ているのに強い眠気が続く、いびきや呼吸の止まりを指摘される場合は受診を勧めます。睡眠時無呼吸やナルコレプシーなど、治療できる病気が隠れていることがあります。まず睡眠時間の確保を試し、改善しなければ専門医へ。

この記事について

文:眠りの科学 編集部

本記事は上記2本の文献に基づきます。新しい研究や反証が出た場合は更新日を改めて反映します。 内容は一般的な情報提供であり、症状がある場合は医療機関にご相談ください。