途切れる呼吸の波形と夜の月を描いたイラスト
DISORDERS

やせているのに、いびきと無呼吸が起きる。日本人は脂肪より骨格が原因だった

睡眠時無呼吸は太った人の病気と思われがちですが、東アジア人は欧米人より痩せていても発症します。同じ重症度なら欧米人は肥満、日本人を含む東アジア人は顔の骨格が狭いことが原因でした。論文と反証から解説します。

ILLUSTRATION / SUIMIN LAB

睡眠時無呼吸は太った人の病気、というイメージは半分しか正しくありません。日本人を含む東アジア人は、痩せていても無呼吸を起こします。同じ重症度でも、欧米人は肥満、東アジア人は顔の骨格の狭さが主な原因だったのです[2]

「自分は太っていないから関係ない」という思い込みが、診断を遅らせています。

睡眠時無呼吸はどれくらい多い病気か

睡眠時無呼吸(睡眠中に呼吸が何度も止まる状態)は、まれな病気ではありません。米国の中年を対象にした古典的な研究では、呼吸異常を持つ人は男性の24%、女性の9%にのぼりました[1]

問題は、この欧米のイメージ(=肥満の病気)が、そのまま日本人に当てはまらないことです。

なぜ日本人は痩せていても無呼吸になるのか

欧米人と東アジア人の無呼吸患者を、同じ重症度でそろえて比べた研究があります[2]。すると、原因の中身がまるで違いました。

日本人は欧米人より平均的に痩せているのに無呼吸が少なくない、という一見矛盾した現象の理由がここにあります。骨格という、痩せても変わらない要因が効いているのです。

この結論の限界

ただし、断定の前に反証も見ておきます。

それでも実用的な教訓は明確です。痩せていても、無呼吸は他人事ではありません。

こんなサインがあれば受診を

この記事のまとめ

  • 睡眠時無呼吸は『太った人の病気』とは限らず、痩せていても起きる
  • 欧米の中年では男性24%・女性9%に呼吸異常があり、多くが未診断
  • 同じ重症度でも欧米人は肥満、東アジア人は顔の骨格の狭さが主因
  • 日本人は低い体重でも発症しやすく『脂肪より骨格』が眠りを止める
  • 大きないびき・日中の強い眠気・起床時頭痛があれば受診を

参考文献と反証

各論文の「主な結果」とあわせて、相反する結果や限界(反証)も併記しています。 集団タグは研究対象(日本人/欧米など)を示します。

  1. [1]Young T, Palta M, Dempsey J, Skatrud J, Weber S, Badr S (1993). The occurrence of sleep-disordered breathing among middle-aged adults. New England Journal of Medicine.欧米対象 地域コホート / 米国の中年成人

    結果中年で睡眠中の呼吸異常を持つ人は男性24%・女性9%にのぼり、日中の眠気を伴う本来の無呼吸症候群は男性4%・女性2%と推定された。多くが未診断だった。

    反証30年以上前の欧米データで、診断基準や機器も現在と異なる。日本人にそのまま当てはまる数値ではない。

    doi:10.1056/NEJM199304293281704
  2. [2]Lee RWW, Vasudavan S, Hui DS, Prvan T, Petocz P, Darendeliler MA, Cistulli PA (2010). Differences in Craniofacial Structures and Obesity in Caucasian and Chinese Patients with Obstructive Sleep Apnea. Sleep.東アジア対象 比較研究 / 重症度をそろえた欧米人と東アジア人

    結果同じ重症度の無呼吸でも、欧米人はより肥満(BMI 30.7対28.4)で首が太く、中国人(東アジア人)は顔の骨格が狭く気道が小さかった。原因の経路が人種で異なる。

    反証対象は中国人で、日本人そのものを調べたわけではない。東アジア人として傾向は近いが、個人差や生活習慣の影響も大きい。

    doi:10.1093/sleep/33.8.1075

よくある質問

痩せていても睡眠時無呼吸になりますか?

なります。睡眠時無呼吸は肥満の人の病気と思われがちですが、日本人を含む東アジア人は顔やあごの骨格が狭いため、痩せていても気道がふさがり無呼吸が起きやすい体質です。

日本人と欧米人で原因が違うのですか?

同じ重症度の無呼吸でも、欧米人は肥満が主な原因、東アジア人は骨格の狭さが主な原因という研究結果があります。日本人は欧米人より低い体重でも発症しやすいと考えられます。

いびきがひどいだけでも受診すべきですか?

大きないびきに加えて、睡眠中の呼吸の止まり・日中の強い眠気・起床時の頭痛がある場合は受診をおすすめします。無呼吸は高血圧や心疾患のリスクにもつながるため、放置は避けましょう。

この記事について

文:眠りの科学 編集部

本記事は上記2本の文献に基づきます。新しい研究や反証が出た場合は更新日を改めて反映します。 内容は一般的な情報提供であり、症状がある場合は医療機関にご相談ください。