眠りの習慣
眠る90分前にお湯につかると、寝つきが10分早くなる
就寝1〜2時間前に40〜42℃のお湯につかると、寝つきが平均で約10分早くなることがメタ解析で示されています。湯船に入る文化を持つ日本人にとって、入浴は最も身近な睡眠改善法です。反証も含めて解説します。
「夜の運動は睡眠に悪い」は、最新のメタ解析では否定されています。むしろ夜の運動は深い睡眠を増やしました。悪影響が出るのは、激しい運動を就寝1時間前までに終えた場合だけ。日本人データも含めて解説します。
「夜に運動すると目が冴えて眠れない」とよく言われますが、これは最新の研究では否定されています。23の研究をまとめたメタ解析では、夜の運動はむしろ深い睡眠を増やしました[1]。悪影響が出るのは、激しい運動を就寝1時間前までに終えた場合だけです。
長時間労働で運動の時間が夜しか取れない日本人にとって、これは朗報です。
運動すると体温と心拍が上がり交感神経が高ぶります。これが「寝つきを妨げる」と考えられ、夜の運動は避けるよう勧められてきました。しかし、その通説を大規模に検証すると、結論は逆でした[1]。
そもそも運動は睡眠の味方です。習慣的な運動も単発の運動も、睡眠の質を改善することがメタ解析で示されています[2]。
日本人を対象にした客観的なデータもあります。群馬県中之条町で1,645人の歩数を実際に測った研究では、活動量の多い人ほど睡眠の質が良いという関係が見られました[3]。
日本人は世界でもっとも歩かない国の一つとも言われます。だからこそ、夜の運動を「悪者」にして避ける必要はないのです。
ただし、すべての夜の運動がOKというわけではありません。
ポイントは「強度」と「タイミング」です。
各論文の「主な結果」とあわせて、相反する結果や限界(反証)も併記しています。 集団タグは研究対象(日本人/欧米など)を示します。
結果夜の運動は睡眠を悪くするどころか、深い睡眠(徐波睡眠)を増やした。悪影響が出たのは、激しい運動を就寝1時間前までに終えた場合の寝つき・総睡眠時間・効率のみ。
反証各研究の運動の種類・強度・時間がばらつく。極端に激しい運動を就寝直前に行う影響は十分に検証されていない。
doi:10.1007/s40279-018-1015-0 ↗結果習慣的な運動も単発の運動も、睡眠の質や総睡眠時間をおおむね改善した。効果は小〜中程度だが一貫していた。
反証効果量は大きくなく、対象や運動内容が多様。不眠症の臨床例にそのまま当てはまるとは限らない。
doi:10.1007/s10865-015-9617-6 ↗結果日本人1,645人を対象に歩数計で活動量を測ると、習慣的な身体活動が多い人ほど睡眠の質が良かった。中強度の運動が多い人で睡眠効率が高かった。
反証観察研究で因果は示せない。高血圧や糖尿病があると関連が弱まり、活動量と睡眠の関係は一律ではない。
doi:10.1016/j.pmedr.2018.06.013 ↗夜に運動すると眠れなくなりますか?
基本的にはなりません。23研究のメタ解析では、夜の運動はむしろ深い睡眠を増やしました。悪影響が出るのは、激しい運動を就寝1時間前までに終えた場合の寝つきや睡眠効率に限られます。
運動はいつすればいいですか?
仕事帰りの夜でも問題ありません。ただし息が上がるような激しい運動は就寝の1時間以上前に終えるのが安全です。軽〜中程度の運動なら夜でも睡眠を妨げません。
どんな運動が睡眠に効きますか?
ウォーキングなど中程度の有酸素運動が手軽で効果的です。日本人を対象にした研究でも、歩数など習慣的な活動量が多い人ほど睡眠の質が良いことが示されています。