マグネシウムのサプリメントと、効果に疑問符がついていることを表したイラスト
MYTH OR FACT

マグネシウムを飲めば眠れる、はまだ言いきれない。効果を示した研究は46人だけだった

マグネシウムのサプリで睡眠の質が上がるという主張は、まだ確かではありません。効果を示した代表的な研究は高齢者46人のみで、複数の研究をまとめると確証は弱いと評価されています。マグネシウムと睡眠の本当のところを、論文と反証から解説します。

ILLUSTRATION / SUIMIN LAB

マグネシウムのサプリを飲めば睡眠の質が上がる——この主張は、まだ言いきれません。効果を示した代表的な研究は不眠の高齢者46人を調べたものだけで[1]、複数の研究をまとめると「確証は弱い」と評価されているからです[3]

人気のサプリですが、過度な期待は禁物です。何が分かっていて、何が分かっていないかを整理します。

マグネシウムは睡眠に効くのか

「効く」とされる根拠の中心が、Abbasiらの試験です[1]

一見、心強い結果です。ただし対象は46人と少なく、しかも「もともと不眠のある高齢者」に限られます。この結果を、若い人や一般の人にそのまま当てはめることはできません。

研究をまとめるとどう見えるのか

個々の研究ではなく、全体を見渡すと評価は厳しくなります[3]

別のシステマティックレビューも、「証拠は一貫せず、質の高い大規模試験が乏しい」と同じ見方を示しています[2]。つまり「効くかもしれないが、確かではない」というのが、現時点の正直な結論です。

それでもマグネシウムが大事な理由

効果が不確かでも、マグネシウム自体は体に欠かせないミネラルです。神経の興奮を抑える働きに関わり、不足すると眠りが浅くなる可能性が指摘されています。

ポイントは「不足を補う」発想です。もともと足りている人がサプリで上乗せしても、睡眠が劇的に良くなるとは考えにくいのです。まずは食事から十分にとることが基本になります。

マグネシウムと睡眠の付き合い方

この記事のまとめ

  • マグネシウムで睡眠が良くなるという主張は、まだ確かではない
  • 効果を示した代表的な研究は不眠の高齢者46人のみと小規模(Abbasi, 2012)
  • 研究をまとめると確実性は低く、効果の方向すら不確か(Mah & Pitre, 2021)
  • それでも必須ミネラルであり、不足を食品から補う発想が基本
  • 過剰摂取は下痢などの害も。慢性不眠はサプリよりCBT-Iが確実

参考文献と反証

各論文の「主な結果」とあわせて、相反する結果や限界(反証)も併記しています。 集団タグは研究対象(日本人/欧米など)を示します。

  1. [1]Abbasi B, Kimiagar M, Sadeghniiat K, et al. (2012). The effect of magnesium supplementation on primary insomnia in elderly: A double-blind placebo-controlled clinical trial. Journal of Research in Medical Sciences.欧米対象 二重盲検ランダム化試験 / 高齢者46人, マグネシウム500mg/日を8週間

    結果マグネシウムを8週間とった群は、プラセボ群より不眠の指標(ISI)が改善し、睡眠時間と寝つきも良くなった。血中のメラトニンが増え、コルチゾールが減った。

    反証対象は不眠のある高齢者46人のみと小規模。若年層や一般の人に当てはまるかは不明。

    原典を読む
  2. [2]Rawji A, Peltier MR, Mourtzanakis K, et al. (2024). Examining the effects of supplemental magnesium on self-reported anxiety and sleep quality: A systematic review. Cureus.総説・メタ解析 システマティックレビュー

    結果マグネシウム補給が睡眠を改善するという証拠は一貫しておらず、質の高い大規模試験は乏しい。効果があるとしても小さく、確証は弱い。

    反証レビューに含まれる試験は方法や対象がばらばらで、まとめて結論を出しにくい。

    doi:10.7759/cureus.59317
  3. [3]Mah J, Pitre T (2021). Oral magnesium supplementation for insomnia in older adults: a systematic review & meta-analysis. BMC Complementary Medicine and Therapies.総説・メタ解析 システマティックレビュー・メタ分析 / 3試験・151人

    結果高齢者の不眠に対するマグネシウムの効果は「方向すら不確か」で確実性は低い。寝つきの時間がわずかに短縮した可能性はあるが、信頼できる差とは言えなかった。

    反証対象の試験が少なく古いものも含む。マグネシウム不足の人に限れば、補給に意味がある可能性は残る。

    doi:10.1186/s12906-021-03297-z

よくある質問

マグネシウムを飲めば眠れるようになりますか?

確実とは言えません。不眠の高齢者46人で効果を示した研究はありますが、複数の研究をまとめると確証は弱いと評価されています。劇的な効果を期待せず、補助的なものと考えてください。

なぜ効くと言われているのですか?

マグネシウムは神経を落ち着かせる働きに関わり、不足するとイライラや眠りの浅さにつながると考えられています。小規模な研究では、とると血中メラトニンが増えコルチゾールが減ったと報告されています。ただし大規模な裏づけは不足しています。

サプリでとっても大丈夫ですか?

食事からの摂取は安全ですが、サプリの過剰摂取は下痢や、腎機能の低下した人では危険を招くことがあります。まずは大豆・海藻・ナッツ・玄米など食品からの摂取を基本にし、サプリを使うなら表示量を守ってください。

この記事について

文:眠りの科学 編集部

本記事は上記3本の文献に基づきます。新しい研究や反証が出た場合は更新日を改めて反映します。 内容は一般的な情報提供であり、症状がある場合は医療機関にご相談ください。