眠りの習慣
眠れない夜は、布団で粘らず一度起きたほうが早く眠れる
眠れないとき布団で粘るほど、脳は「ベッド=眠れない場所」と学習し、ますます眠れなくなります。15〜20分眠れなければ一度起きる「刺激制御療法」は、睡眠薬に頼らない不眠改善の第一選択です。日本人の5人に1人が抱える不眠への対処を、論文と反証から解説します。
寝る前に静かな音楽を聴くと、睡眠の質が上がります。45分の音楽を3週間続けた学生が「眠れない人」の基準を脱した研究があります。効果は確実ではありませんが、副作用がなく今夜から試せます。音楽と睡眠の関係を、論文と反証から解説します。
寝る前に静かな音楽を聴くと、睡眠の質が上がります。45分の音楽を3週間続けただけで、「眠れない人」だった学生が、その基準を脱した研究があります[1]。お金も手間もかからず、副作用もありません。今夜から試せる方法です。
ただし「魔法のように眠れる」わけではありません。何が分かっていて、どんな曲が向いているのかを見ていきます。
最もよく知られているのが、Harmatらのランダム化比較試験です[1]。
ポイントは、同じ「聴く」でも音楽でなければ効果が出なかったことです。言葉を追うオーディオブックより、音楽のほうがリラックスにつながったと考えられます。
仕組みを整理した文献レビューによると、音楽は複数の経路で眠りを助けます[3]。
悩みごとから気をそらす点は、無関係なイメージで思考を散らすシャッフル睡眠法と似ています。眠りを妨げる「考えごと」を止めるのが共通のカギです。
期待しすぎないために、まとめて見た結果も確認します[2]。
「眠れる気がする」という安心感の寄与もあるでしょう。それでも、副作用がなく無料で試せるのは大きな利点です。
各論文の「主な結果」とあわせて、相反する結果や限界(反証)も併記しています。 集団タグは研究対象(日本人/欧米など)を示します。
結果寝る前に45分の静かなクラシック音楽を3週間聴いた群は、睡眠の質(PSQI)が大きく改善し、平均点が「眠れない人」の基準を下回った。オーディオブックを聴いた群や何もしない群では改善しなかった。
反証対象は若い学生で、効果はうつ症状の軽減を介した部分もある。臨床的な不眠症患者での結果ではない。
doi:10.1111/j.1365-2648.2008.04602.x ↗結果音楽を聴くことは、主観的な睡眠の質を改善する可能性がある。副作用の報告はなく、安全に試せる。一方で、寝つきの時間や総睡眠時間など客観的な指標への効果ははっきりしなかった。
反証含まれた試験の質は低〜中程度で、確実性は限定的。プラセボ効果や「眠れると思う安心感」の寄与も否定できない。
doi:10.1002/14651858.CD010459.pub3 ↗結果音楽は、不安や心拍・呼吸を落ち着かせ、気をそらして悩みごとの反すうを止めることで眠りを助けると考えられる。ゆっくりしたテンポ(毎分60〜80拍程度)の慣れた曲が向いている。
反証仕組みの説明は仮説が多く、どの要素が効くかは確定していない。曲の好みによる個人差も大きい。
doi:10.1016/j.sleep.2019.05.016 ↗寝る前に音楽を聴くと眠れるようになりますか?
睡眠の質が上がる可能性があります。45分の静かな音楽を3週間続けた学生が「眠れない人」の基準を脱した研究があります。効果は確実ではありませんが、副作用がなく今夜から試せます。
どんな音楽がいいですか?
ゆっくりしたテンポ(毎分60〜80拍程度)の、歌詞が少なく聴き慣れた曲が向いています。クラシックや環境音などが代表的です。気持ちが高ぶる激しい曲や、初めて聴く刺激的な曲は避けましょう。
音楽をかけたまま寝てもいいですか?
タイマーで切れるようにするのがおすすめです。一晩中流すと、音で眠りが浅くなることがあります。イヤホンを着けたまま眠るのも、圧迫や衛生面で避けたほうが無難です。寝つくころに止まる設定が安全です。