夜間に働く人と、乱れる体内時計のイラスト
JAPAN FOCUS

夜勤を続ける男性は、前立腺がんが3倍だった

夜勤や交代勤務は、体内時計を乱してがんのリスクを高めます。WHOの専門機関は夜勤を「おそらく発がん性あり」と分類しています。日本人男性約1.4万人の研究では、交代勤務者の前立腺がんリスクが3倍でした。論文と反証から解説します。

ILLUSTRATION / SUIMIN LAB

夜勤や交代勤務は、体内時計を乱してがんのリスクを高めます。WHOの専門機関は、夜勤を「ヒトにおそらく発がん性がある」と分類しています[2]。実際、日本人男性約1.4万人の研究では、交代勤務者の前立腺がんリスクが3倍でした[1]

夜勤は「きつい」だけでなく、体の奥のリズムを壊します。

なぜ夜勤は体に悪いのか

人の体は、約24時間の体内時計に従って動いています。睡眠、ホルモン分泌、細胞の修復まで、すべて昼夜のリズムに合わせて調整されています。

夜勤は、このリズムに逆らう働き方です。夜に光を浴びるとメラトニン(夜を知らせるホルモン)の分泌が抑えられ、全身のリズムが崩れます。

夜勤はがんのリスクを上げるのか

この問題を国際的に評価したのが、WHOの専門機関IARCです[2]

「2A」は確定ではなく『おそらく』の段階ですが、無視できない警告です。

日本人の交代勤務者で何がわかったのか

日本人を対象に夜勤とがんの関係を示したのが、JACC研究のKuboらの調査です[1]

交代勤務は、社会を支える不可欠な働き方です。だからこそ、リスクを知って備えることが大切です。

この話の限界

断定の前に、反証も見ておきます。

それでも、夜勤が体内時計を乱し健康リスクを高める方向は、多くの研究で一致しています。

夜勤の影響を減らす方法

この記事のまとめ

  • WHOの専門機関IARCは夜勤を『おそらく発がん性あり(2A)』と分類
  • 日本人男性約1.4万人で、交代勤務者の前立腺がんリスクは3倍だった
  • 夜の光がメラトニンを抑え、体内時計と細胞修復のリズムを乱す
  • ただし『おそらく』の段階で、関連を示す研究と示さない研究が混在
  • 勤務後は朝の光を避けて眠り、健康診断と仮眠でリスクに備える

参考文献と反証

各論文の「主な結果」とあわせて、相反する結果や限界(反証)も併記しています。 集団タグは研究対象(日本人/欧米など)を示します。

  1. [1]Kubo T, et al. (2006). Prospective cohort study of the risk of prostate cancer among rotating-shift workers: findings from the Japan Collaborative Cohort Study. American Journal of Epidemiology.日本人対象 前向きコホート / 日本人の働く男性14,052人

    結果日本人の交代勤務(ローテーション勤務)の男性は、日勤者に比べて前立腺がんのリスクが3.0倍だった。夜勤による体内時計の乱れが関わると考えられる。

    反証観察研究で因果は断定できない。交代勤務者は食事・運動・受診行動などの生活も日勤者と異なり、その影響を完全には除けない。

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  2. [2]IARC Monographs Working Group (2020). Night Shift Work (IARC Monographs on the Identification of Carcinogenic Hazards to Humans, Vol. 124). International Agency for Research on Cancer (WHO).総説・メタ解析 国際専門家による証拠評価

    結果WHOの専門機関IARCは、夜勤(概日リズムを乱す交代勤務)を「ヒトにおそらく発がん性がある(グループ2A)」と分類した。体内時計の乱れと夜間の光によるメラトニン抑制が機序とされる。

    反証「2A」は確定ではなく『おそらく』の段階。夜勤とがんの関連を示す研究と、明確な関連を見いだせない研究が混在している。

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よくある質問

夜勤はがんのリスクを上げますか?

上げる可能性が指摘されています。WHOの専門機関IARCは、夜勤を「おそらく発がん性あり(グループ2A)」と分類しました。日本人男性の研究では、交代勤務者の前立腺がんリスクが3倍でした。ただし確定ではありません。

なぜ夜勤は体に悪いのですか?

体内時計が乱れるためです。夜に光を浴びるとメラトニンの分泌が抑えられ、睡眠・ホルモン・細胞の修復のリズムが崩れます。これが、がんや生活習慣病のリスク上昇につながると考えられています。

夜勤の悪影響を減らすことはできますか?

完全には防げませんが、軽減はできます。勤務後はサングラスで朝の強い光を避けて眠り、休日は体内時計を大きくずらさない。仮眠の活用や定期的な健康診断も重要です。

この記事について

文:眠りの科学 編集部

本記事は上記2本の文献に基づきます。新しい研究や反証が出た場合は更新日を改めて反映します。 内容は一般的な情報提供であり、症状がある場合は医療機関にご相談ください。