睡眠の不調
やせているのに、いびきと無呼吸が起きる。日本人は脂肪より骨格が原因だった
睡眠時無呼吸は太った人の病気と思われがちですが、東アジア人は欧米人より痩せていても発症します。同じ重症度なら欧米人は肥満、日本人を含む東アジア人は顔の骨格が狭いことが原因でした。論文と反証から解説します。
夫婦やパートナーが寝室を分ける「睡眠離婚」は、関係の危機ではありません。別室で眠る人の半数以上が睡眠の改善を実感し、平均37分多く眠れています。一方で、同じベッドで眠るとレム睡眠が増えるという研究もあります。睡眠の質と関係の質は、分けて設計できます。
夫婦やパートナーが寝室を分ける「睡眠離婚」は、関係の危機ではありません。米国睡眠医学会の調査では、成人の3分の1以上が別室で眠ることがあり、別室派の半数以上が睡眠の改善を実感しています[1]。平均で37分、多く眠れていました。
「夫婦は同じベッドで寝るもの」という思い込みは、睡眠科学の目で見ると、必ずしも正しくありません。
睡眠離婚とは、夫婦やパートナーが、よりよく眠るために寝室や寝具を分けて眠ることです。英語の "sleep divorce" の訳語で、離婚を意味するわけではありません。関係は続けたまま、眠る場所だけを分ける選択です。
近年、欧米でこの言葉が広まったのは、それが我慢の産物ではなく、前向きな健康習慣として捉え直されたためです。背景には、睡眠の質が日中の気分や健康を大きく左右するという理解の広がりがあります。よく眠れていない状態でいっしょに過ごすより、お互いがしっかり眠ってから向き合うほうが、関係にとってもよい——そういう発想の転換です。実際、別室で眠る人の多くは、その結果に満足しています。
最大の理由は、パートナーの存在が、客観的には睡眠を妨げているからです。本人が気づいていなくても、隣で眠る人のいびきや寝返りは、もう一方の眠りを浅くしています。
これを示したのが、Pankhurstらの古典的な研究です[3]。
つまり、「一緒に寝るとよく眠れる気がする」という感覚と、「実際の眠りは乱されている」という事実は、食い違うことがあります。とくにパートナーが大きないびきをかく場合、それは無呼吸のサインのこともあり、隣の人の睡眠も確実に削っています。別室は、この物理的な妨害から両者を解放します。
あります。ここが、この話を単純な「別室のすすめ」で終わらせてはいけない理由です。同じベッドで眠ることには、別室にはない利点も報告されています。
Drewsらの研究は、カップルが同じベッドで眠ると、別々に眠るときよりレム睡眠が増えることを示しました[2]。
体動の研究と、レム睡眠の研究は、一見すると矛盾します。しかし両者が教えるのは、「同室か別室か」に唯一の正解はない、ということです。安心感が眠りを助ける人もいれば、物理的な妨害のほうが大きい人もいます。大切なのは、世間体や思い込みではなく、自分たちの眠りが実際にどうかで決めることです。
日本でも、別室で寝る夫婦は決して少数派ではありません。
複数の国内調査でも、別室や別寝具で眠る夫婦は3〜5割にのぼります。日本では「夫婦は同じ布団・同じ寝室」という規範が根強い一方で、現実にはすでに多くの夫婦が、眠りのために寝室を分けています。「うちだけ別室で大丈夫だろうか」と不安に思う必要はありません。
とくに日本人は、欧米人に比べていびきや無呼吸を骨格的に起こしやすい体質の人が一定数います。やせていても無呼吸が起きることがあり、隣で眠るパートナーの睡眠は知らないうちに削られています。別寝のきっかけの一位が「いびき」であることは、この体質的な背景とも無関係ではありません。
睡眠の質と、関係の質は、分けて設計できます。次の視点で考えてください。
別室で眠ることは、愛情が冷めたしるしではありません。お互いがよく眠れた状態で日中を過ごすことこそ、関係を穏やかに保つ土台になります。夜中に何度も目が覚めて困っているなら、寝室を分けることは有力な選択肢の一つです。
各論文の「主な結果」とあわせて、相反する結果や限界(反証)も併記しています。 集団タグは研究対象(日本人/欧米など)を示します。
結果米国成人の3分の1以上が、パートナーに合わせて別室で寝ることがあると回答(時々20%・常に15%)。男性の45%、女性の25%が経験。別売り調査では別室派の52.9%が睡眠の質の改善を実感し、平均37分多く眠れていた。
反証自己申告の意識調査で、睡眠を客観的に計測したものではない。米国の文化的背景を含み、そのまま日本に当てはまらない。
原典を読む ↗結果同じベッドで眠ると、別々に眠るときよりレム睡眠が増えて安定し、二人の睡眠段階が同期した。同期の強さは関係の深さと正の相関を示した。
反証対象は若く健康な12組と少数で、いびきや生活時間のずれがある夫婦には当てはまりにくい。関係の良いカップルが選ばれた可能性もある。
doi:10.3389/fpsyt.2020.00583 ↗結果同じベッドで寝ると、一方の寝返りがもう一方の体動を誘発し、客観的には睡眠が乱されていた。それでも本人たちは「一緒に寝たほうがよく眠れた」と感じていた。
反証体動の計測であり、睡眠の深さや健康影響を直接測ったものではない。古い研究で、寝具環境は現在と異なる。
原典を読む ↗結果日本で別室で寝る夫婦は30代で14%だが、年代が上がるほど増え、70代以上では約47%が別室。別寝のきっかけで最も多いのは「パートナーのいびき」。
反証民間の生活調査であり、学術的な無作為抽出ではない。世代や住宅事情の影響を含む。
原典を読む ↗夫婦別室で寝るのは仲が悪い証拠ですか?
いいえ。米国睡眠医学会の調査では成人の3分の1以上が別室で寝ることがあり、別室派の半数以上が睡眠の改善を実感しています。睡眠の質と関係の質は別の問題で、よく眠るための合理的な選択として広がっています。
別々の部屋で寝ると睡眠は本当に良くなりますか?
多くの人で良くなります。別室派の52.9%が睡眠の質の向上を実感し、平均37分多く眠れたという調査があります。とくにパートナーのいびきや体動、生活時間のずれで眠りが妨げられている場合に効果が出やすいです。
一緒に寝るのと別々に寝るのは、どちらが体にいいですか?
一概には言えません。同じベッドで眠るとレム睡眠が増え二人の眠りが同期するという研究がある一方、客観的にはパートナーの体動で睡眠が乱されるという研究もあります。いびきや不眠で困っているなら別室を、困っていないなら無理に変える必要はありません。