夜のベッドと、脚の不快感を象徴的に描いたイラスト
DISORDERS

夜になると脚がむずむずして眠れない。その正体は鉄不足かもしれない

夜、脚の奥がむずむずして眠れない「むずむず脚症候群」。その多くの背景に、脳の鉄不足があります。日本人の有病率は約4%と欧米より低いものの、鉄が不足しがちな日本人女性では見逃せません。論文と反証から解説します。

ILLUSTRATION / SUIMIN LAB

夜、脚の奥がむずむずして眠れない——それは「むずむず脚症候群」かもしれません。そしてその多くの背景には、脳の鉄不足があります[1]。鉄を補うと症状が和らぐ人が多く、原因に手が届く不眠でもあります。

「気のせい」や「疲れ」で片づけられがちですが、れっきとした治療できる状態です。

むずむず脚はなぜ起きるのか

むずむず脚症候群は、夕方から夜にかけて脚の奥に不快感が出て、じっとしていられなくなる状態です。脚を動かすと楽になり、横になると悪化するため、寝つきを大きく妨げます。

その中心にあるのが、脳の鉄不足です。Allenらの研究は、この仕組みを明らかにしました[1]

血液検査で鉄(フェリチン)が低ければ、鉄を補うことが治療の第一歩になります。原因がはっきりしている分、対処しやすい不眠です。

日本人ではどうか

むずむず脚は欧米人に多い病気として知られますが、日本人にもあります。日本の地域住民を調べた研究では、有病率は約4%でした[2]

「欧米の病気だから自分は関係ない」とは言えません。とくに鉄が不足しがちな日本の働く女性では、見逃せない原因です。

鉄だけではない、という反証

脚のむずむずで眠れないときは

この記事のまとめ

  • むずむず脚症候群は夜に脚の不快感で眠れなくなる、治療できる状態
  • その中心には脳の鉄不足があり、鉄を補うと改善する人が多い
  • 日本人の有病率は約4%で欧米より低いが、まれではない
  • 鉄が不足しがちな日本人女性ではとくに見逃せない原因
  • 脚のむずむずで眠れないなら、鉄の検査を含めて受診を

参考文献と反証

各論文の「主な結果」とあわせて、相反する結果や限界(反証)も併記しています。 集団タグは研究対象(日本人/欧米など)を示します。

  1. [1]Allen RP, Earley CJ (2007). The role of iron in restless legs syndrome. Movement Disorders.総説・メタ解析 総説 / 病態生理のレビュー

    結果むずむず脚症候群の中心には脳の鉄不足があり、それが脳内のドーパミンの働きを乱す。血液の鉄が正常でも脳脊髄液では鉄が低下しており、鉄を補うと症状が改善する例が多い。

    反証鉄不足だけで全てを説明できるわけではなく、遺伝や腎不全・妊娠など複数の要因がある。鉄補充が効かない人もいる。

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  2. [2]Nomura T, et al. (2008). Prevalence of restless legs syndrome in a rural community in Japan. Sleep Medicine.日本人対象 地域住民調査 / 日本人

    結果日本のむずむず脚症候群の有病率は約4%で、女性(約4.9%)に多かった。欧米の7〜10%より低く、人種差が示唆される。

    反証調査方法や診断基準で有病率は変わる。自己申告を含むため過大・過小の両方がありうる。

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よくある質問

むずむず脚症候群とはどんな病気ですか?

夕方から夜にかけて、脚の奥にむずむず・むずがゆいような不快感が出て、じっとしていられなくなる状態です。脚を動かすと楽になります。寝つきを妨げ、慢性的な不眠の原因になります。

なぜ鉄が関係するのですか?

脳の鉄が不足すると、脚の感覚を調整するドーパミンの働きが乱れ、むずむず感が起きると考えられています。血液検査で鉄(フェリチン)が低い場合、鉄を補うと症状が改善することが多いです。

日本人にも多いですか?

有病率は約4%で欧米(7〜10%)より低めですが、まれではありません。とくに日本人女性は月経や食事で鉄が不足しがちで、見逃せません。脚のむずむずで眠れない人は、鉄の検査を含めて受診を検討してください。

この記事について

文:眠りの科学 編集部

本記事は上記2本の文献に基づきます。新しい研究や反証が出た場合は更新日を改めて反映します。 内容は一般的な情報提供であり、症状がある場合は医療機関にご相談ください。